sech函数のFourier変換キメる人やった
久々の更新です。今期なかなか大変で全然更新できませんでした…
いろいろあったんですけどね、また今度書くことにしましょう。
さて、先日工業数学A3(Fourier解析とLaplace変換)のテストがあったんですが、その演習問題でなかなか難しい問題がありまして…
それがタイトルのsech函数のFourier変換なんですが、全然解けなかったんですね、これが。
友人に聞いてちょっといろいろやってみたところ何とか解けました。こうなるようです:
ただし、ここではFourier変換を以下のように定義しています:
ということでこの導出について、メモがてら書いておくことにします。
キーワード:
Fourier変換、sech函数、極、留数定理。
考えるべき積分は以下の積分ですから、これを便宜上とおきます:
さて, ってのはどんな函数かというと、
と指数函数で書ける函数なのでした。
(3)に(4)を代入すると、は
と書けます。…おや、被積分函数がヤバい点(a.k.a. 1位の極)が見えますね…
ここで留数定理の利用を考えてみましょう。いい極が見つかったらその周りでぐるんと一周積分すればいい感じに求まるかもしれません。
となるで被積分函数は正則でありませんから、この点を求めてみましょう。
なので、としてとなります。つまり、
なるは1位の極になっているわけです。へぇ、虚軸上に無限個極があるんだそっかぁ~え~めでたいなぁ~全くもう
…
無限個も極がでるとは…これは一大事ですね(?)
いや別にそうでもないんですけどね。「え、Jordanの補題使って無限個の極の留数を無限和で足せばいいんじゃないの?」って感じなんですが、無限和計算したくないですよね…。
え、無限和計算したい?…それはまあ…趣味の問題ですかね
ということで、無限和を計算しないで何とかできないかやってみましょう。
被積分函数が全て指数函数で書けていることに注意して、図のように4点からなる複素平面上の長方形をと一周する積分パスをとります:
こうして、極の留数のみを考えることにしましょう。
便宜上、以下では考える積分(5)の被積分函数をと書くことにします。つまり
とします。
は1位の極なので、以下の公式が使えます:
函数がの形をしており、1位の極についてならば、でのの留数は
で求められる。
公式(7)を用いることで、
を得ます。
さて、
が成り立ちます。留数定理より、(9)の左辺はさきほど求めた留数(8)を用いて、
と書けます。
今度は(9)の右辺について見てみましょう。
右辺第1項について、
ですから、とすれば求める積分に他なりません。
右辺第3項の計算をしてみましょう。まず、
と書けますね。ここでと変数変換してみますと、(12)は
と計算されます。これと、(11)とを合わせて
が分かります。
右辺第2項はどうなるでしょうか?
ですが、と変数変換すると
となりますから、
と評価できます。この右辺はでになりますから、
が分かります。右辺第4項についても同様に、
が示せます。
以上(10)(14)(18)(19)より、式(9)の両辺をとすると、
が得られました。これをについて解くと、
となります。よって最終的に、(2)から
となり、結論(1)を得ます。めでたいですねぇ~。