CODEX ZEPHYRVS

Sine doctrina vita est quasi mortis imago.

「東京やん」ってなった — ケモインフォマティックス 秋の学校に参加して

11/24(火)の夕方から26日まで、東京行ってきました。学祭の片付けで24は授業がお休みで*125からは普通に授業も実験もレポートの締切も*2あったわけですが、それにも関わらずに行ってきました。
よっぽどのことがないと*3授業をサボらない僕がわざわざ東京に行ってきたのは、2年に1度開催される「ケモインフォマティックス 秋の学校」に参加するためです。

Autumn School of Chemoinformatics in Tokyo

帰りの新幹線がそこそこに暇なのであったことを忘れないうちに色々書いてみることにします。

11/24 東京到着

4年ぶりぐらいに新幹線に乗って割とはしゃぎながら*4、18時過ぎに東京駅に到着。実にめでたい構造してるね(?)(*˙˘˙*)ஐ

Twitterでよくお世話になってる東大の1回生と東京駅で待ち合わせしていたので、2人で駅のお店でお蕎麦を食べました。結構旨いじゃん、なかなかやるな、と謎に上から目線の評価をしておきましょう*5

彼のお宅にお泊まりすることになっていたので*6、電車を乗り継いで彼のお宅へ。大学のこととか、やってる勉強のこととか、よく聴く音楽とか、オススメの本とか色々とお話をしてたら結構時間が経ってたので、寝ることにしました。

11/25 秋の学校 1日目

いよいよ出発

結構早めに起きて、支度をして、入れてもらったコーヒーを飲んで(わざわざありがとう)、地下鉄を乗り継いで東大の本郷キャンパスへ。地下鉄ってこんなに地下もぐるのね…おじさんびっくりだよ…

東大の会場へ

実は、東大に行くのは初めてだったのでめちゃくちゃテンション高まりました。赤門あるじゃん!安田講堂あるじゃん!

で、9:30ちょい過ぎに会場へ到着。

大変めでたいね◝(⑅•ᴗ•⑅)◜..°♡

ところでケモインフォマティクスって何?

ほとんどの方はケモインフォマティクスという言葉を聞き慣れていないと思いますので、僕なりの解釈を、誤解を恐れずに与えてみようと思います。

ケモインフォマティクス(chemoinformatics)は日本語で言えば「化学情報学」という分野です。簡単に言ってしまえば「情報学の知識で化学の発展を支援しよう」というような学問です。やる内容は文献にもよると思いますが、主に

  • 数理化学(グラフ理論、複雑ネットワークなど)
  • 計算化学
  • ケモメトリクス*7

などが挙げられます。具体的には、機械学習を用いて新規化合物を探索しよう、だとか、反応経路の予測をしよう、だとか、挙げればキリがないですがザックリと理解するなら「計算機を用いた化学」とまとめてしまうといいかもしれません*8

1日目、開始

主催の船津先生の開会挨拶に始まり、各国の色々な先生方の発表を聞きました。
初めはBajorath先生のケミカルスペースネットワークに関する発表。複雑ネットワークの知識がここにも使えるんだと驚きました。後半は話が追えなかったので自分で調べてみる必要がありそうです。
次は奥野先生の新規薬剤発見にビッグデータとシミュレーションを活用しようという旨の発表。バーチャルスクリーニングとシミュレーションによるタンパク質-薬剤の結合力の予測、スパコン「京」のお話でした。CGBVS*9、なかなか興味あるなぁ

適宜メモしながら聞いてましたが、やっぱり発表が全部英語って言うのもあって聞き逃し/書き逃しちゃうこともしばしば…。英語力不足を感じます。日本の先生方も普通に英語で発表したり質疑応答したり、会話したりしてらっしゃったし、すごいなぁ…。頑張らないといけません。

昼食を終えてひとりでボーッとしていたら、Twitterでお世話になっている助教の先生、それと船津研の助教の先生に話しかけていただきました。ただでさえ会場の雰囲気に圧倒されて緊張していたのに*10初めてお会いしたのでうまく話せたかどうか自信はないけども、色々とお話できてよかったです*11。ありがとうございました。

午後のセッション

午後のセッションの初めは長谷川先生のLPLS*12に関する発表。機械学習関連の話だったので、数理統計で見たような数式がいっぱい出ててめでたい感じでした(◍•ᴗ•◍)もうちょい深入りしてみたいなぁ

次はSchneider先生のケミカルスペースに関する発表。この日はこの内容が1番ワクワクして面白いなと思いました。とはいえいろいろあって内容がまだ消化不良気味なのでうまいことまとめられませんが、キーワードだけ挙げてみると、CATS*13de novo設計、DOGS*14、「分子進化」、LiSARD*15、などなど…。紹介されていた論文を読んでしっかり理解したいです。

その次が金谷先生のKNApSAcK Familyデータベース(オーム科学データベース)に関する発表。生物とその代謝物を関連付けたデータベースってなかなか面白いですね。

その後はケモインフォマティクス関連のソフトウェアを開発している会社の方が3人ほど発表されていました。このあたりはちょっと疲れててあまりしっかり聞けていないんですが、いろいろなソフトウェアができてるんだなぁと、確かに化学を支援していることが分かってちょっと嬉しくなりました。

懇親会

懇親会ですが、単身で参加していたので人見知りがちな僕はなかなか自分から話しかけることもできず、端っこの方でまったりご飯をつまんだりウーロン茶を飲んだりしていたわけです_(:3 」∠)_
机の上のウーロン茶を飲もうと思ったら、船津研の研究員の方が注いでくださって、やっとのことでお話をすることができました(大変めでたい)。船津研の学部/修士の学生さんとも(主に進路に関して)お話できたし、船津先生も紹介していただいて「ケモインフォマティクスの研究をしたいです」と言ったら「ぜひいらっしゃい」と言っていただいたので、もう大学院はそちらに決めてしまおうかと乗り気になっています。(院試の過去問を見てみたら案の定化学系の、特に化学工学と物理化学の問題が多かったので、化学の勉強も本腰を入れなければなりません。京大の大学院も一応受けるつもりなので結構勉強する科目が多いなぁ…)
「ケモインフォマティクス興味あるから単身で来ちゃった」って言ったら「アクティブだね~」って言われました笑
アクティブぐらいがちょうどいいのかもしれない(◍•ᴗ•◍)

懇親会、大変楽しませて頂きました。

友人とご飯

京大の受験の時に会った子とご飯を食べる約束をしていたので*16丸ノ内線本郷三丁目の場所が分からないとかいうハプニングを乗り越えて池袋へ。
相変わらずで何より。一緒にパスタを食べて色々なお話をしました。みんないろいろ考えてるしいろんな体験してるのね笑
アラビアータうまかった~

帰りにいい感じのイルミネーションも見れて大変いい感じでした◝(⑅•ᴗ•⑅)◜..°♡

この日はまた別のお友達の家に泊まらせてもらう予定だったので(突然だったのにありがとう)、彼のお家に向かってちょっとお話して寝ました。楽しかったけどなかなかハードな1日でした。

11/26 秋の学校 2日目

悲しみの遅刻と午前セッション

ちょっと寝すぎて慌てながら友人宅を後に。ギリギリ間に合うかと思ったんですが、御茶ノ水での丸ノ内線*17への乗り換えに手間取った(駅の場所が分からなかった)せいで無事遅刻。到着した時には最初の発表が始まってました。

初めは山西先生の発表でした。機械学習を用いて既存の薬剤が別の病気に適用できるかどうか調べる、ということに関するお話でした。そんなこともできるんだ、とワクワクしました( ´ ᵕ ` )

次はBender先生の発表。前半が研究者の心構えに関するお話で、後半が化合物データと生物学的データをいかに使うか、というお話でした。
博士号を持って研究するということ、知識をつけるということ、他の人と研究するということ…あまり実感がわかなかった研究者の生活とか考えとか、そういうのが(僕には)感じられてとても参考になりました。
後半の話も、分子構造とフェノタイプからタンパク質に対する反応を予測するだとか、求める生体機能をもつようにするための分子構造を予測するだとか、そういった話が聞けてとても興味がわきました。

午前セッションはこれで終わりで、お昼の休憩に入りました。東大の購買に行ってみたら大好きだけど関西ではなかなか手に入らない(?)MAXコーヒーが置いてあって思わず買ってしまいました笑
最高じゃん、東大。

午後のセッション

午後の初めはRognan先生のタンパク質間相互作用を阻害する薬剤の構造推定に関する発表。タンパク質間相互作用を分類して、タンパク質の凹みを検出して、そこのアミノ酸の並びからファーマコフォア*18を調べて、目的の分子はこんなもんだと構造を提示する、といったことができるのだそうだ。実用化されれば薬剤開発も便利になるだろうなぁ…

次はVarmuza先生のケモメトリクスに関する発表。ケモメトリクスの歴史からその応用まで、お話を聞きました。なかなか気になっている分野なので、もうちょっと詳しく調べる必要がありそうです。

次はVarnek先生のCGR(Condensed Graph of Reaction)を用いた合成有機化学反応の予測に関する発表。グラフ理論が好きなこともあって、大変興味深かったです。この日の中でも特に面白いなと思いました。化学反応をグラフで表現したものがCGRなのですが、目的の化学反応を行うのに必要な反応条件を予測したり、似た反応を検索したりとCGRにはいろいろな応用例があるとのことでした。グラフ理論を使いつつ、有機化学もできるというのはなかなか楽しそうだと感じました。こういう研究面白いなぁ。

この後は前日と同様に企業の方が2人、ソフトウェアに関して発表してらっしゃいました。ソフトウェア、ちょっと欲しいなって思いました笑

最後にSchneider先生の閉会の挨拶。

  • ケモインフォマティクスは化学のたくさんの分野を支えているということ
  • ケモインフォマティクスでデータを元にした研究と仮説を元にした研究を組み合わせて新たな発見をすることができること
  • 化学の研究が1度にたくさんの化合物を扱えるようになっていること
  • 既存の手法と新規の手法が自然に組み合わせられていること
  • ケモインフォマティクスとバイオインフォマティクスが融合しつつあること
  • ケモインフォマティクスは実用的になっていること
  • データの欠損や、誤ったデータや余計なデータの混入には気をつけるべきであること
  • 手法が適用できる限界がどこか見極める必要があること
  • 化学者、研究機関からはケモインフォマティクス的な手法は地位を得ていない部分もあること

などを確認して終了しました。"Different views are respected, new ideas explored"という言葉があったのと、ケモインフォマティクスの研究者は薬学、化学系が多く、情報系、数理系がそこまで多くないとのことだったので、僕も情報系、数理工学系の端くれとしてこれから何かできればいいなと思いました。
これでケモインフォマティックス 秋の学校は無事終了。参加者の皆様、お疲れ様でした。

夜ご飯、そして京都への帰還

目的のイベントが全て終わったので夜ご飯を食べに中野へ。2日目にお宅にお泊まりさせてもらった友人と坦々麺を食べました。いい辛さでうまい!

食べたあとは、荷物を友人宅に置いていたので取りに戻って、ちょっとまったりしてから東京駅に向かいました。東京駅でお土産も買って、新幹線に乗って帰還しました。参加した記念に貰った冊子とネームカードを撮ってみました。

先ほどおうちに帰還したわけですが、帰ったらNFで買ったものが届いてて嬉しくて小躍りしてます(*˙˘˙*)ஐ
かわいい~(◍•ᴗ•◍)

ちなみにこちらで買いました
アンクラールスのショップ | ハンドメイド通販 iichi(いいち)

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ケモインフォマティックス 秋の学校に参加して

大変良い機会を得たと思います。というのも主に、自分がこれからとるべき進路が割とはっきりしたのと、様々な論文を読むきっかけができたのと、ケモインフォマティクスの分野の方々と知り合えたからです。こういう分野をもっと勉強しようとか、この論文を読んでみようとか、こういう研究がしてみたいかもとか、モチベーションがとても高まりました。頑張るぞ~(*˙˘˙*)ஐ
「ケモインフォマティクス 若手の会」というものにもお誘いをいただいたので、そちらにも参加してみようかと思っています。今からとても楽しみです。

今日も疲れたから早めに寝ようと思ってたらブログ更新してました( ´・ᴗ・` )
書き終わったので寝ます~

*1:なお僕は朝起きたら昼だったのでめっちゃ申し訳ない感じです…おみやげ買ったから許してほしいです

*2:連続体力学のレポートは滅ぼしそびれた

*3:だいたいは多忙と寝坊

*4:といっても新幹線の中ではひたすら知恵の輪を解いていた。まだ解けていない。

*5:地元の福井のお蕎麦がとても美味しいのでね( ´・ᴗ・` )

*6:正確には「ことにしたので」。本当にありがとうございました。

*7:統計的、数学的な手法により、得られた化学的データを解析して有用な情報を与えることを目的とした学問分野のこと

*8:大変雑ですが…

*9:Chemical Genomics-Based Virtual Screening method

*10:それと、何も考えずに私服で参加してしまった。周りの方がスーツの方ばっかりだったので焦った。

*11:オススメの本も教えて頂いてよかったです。また時間見つけて読みます。

*12:L-shaped Partial Least Squares

*13:Chemically Advanced Template Search

*14:Design Of Genuine Structures

*15:Ligand-Based Structure-Activity Relationship Display

*16:当日2次会に誘っていただいたのにごめんなさい。また誘っていただけると嬉しいです。

*17:またしても!!!!

*18:簡単にいえば、タンパク質が分子と結合してある効果を出すために必要とされる特徴のこと