有機化学と戯れるなど
春休みですが、今週は薬学部で集中講義「Selective Organic Synthesis」を受けました~
最近有機化学成分が足りてなかったので(?)ちょうどよい機会でした( 'ω')
感想などを書いてみることにします~
科目名が英語で書いてあることからわかるように、英語講義です。ケルン大学のBerkessel先生に5日間講義をしていただきました。
聞き取りやすいようにゆっくり英語で話してくださったので、問題なく講義に集中できました。よかった~
講義中に結構質問を投げかけてくださったんですが、ちょっとしか答えられなかったのが心残り…(._.`)*1
"Catalytic Asymmetric Total Syntheses of Quinine and Quinidine", Eric N. Jacobsen, J. Am. Chem. Soc., 2004, 126 (3), pp 706–707を題材にして、ウォーレン有機化学を参考に講義が進められていました。
キニーネの全合成を講義で見ることになるとは…!
内容がなかなか盛りだくさんで、
- 全合成(total synthesis), 形式全合成(formal total synthesis)と半合成(semisynthesis)
- 熱力学的支配(thermodynamical control)と速度論的支配(kinetic control)
- 立体化学(stereochemistry)と不斉合成(asymmetric synthesis)
- 官能基選択性(chemoselectivity), 位置選択性(regioselectivity), 立体選択性(stereoselectivity)
- Baeyer-Villiger酸化
- Henbest効果
- e.e.(enantiomeric excess), e.r.(enantiomer ratio), d.r.(diastereomer ratio)
- 反応の遷移状態に対するキラル環境のつくりかた(asymmetric induction)
- Substrate Control(e.g. Kiliani-Fischer合成)
- Auxiliary Control(e.g. Evans auxiliaryを用いたDiels-Alder反応)
- Reagent Control(e.g. "Narasaka trick": "Asymmetric Diels-Alder reaction catalyzed by a chiral titanium reagent", J. Am. Chem. Soc., 1989, 111 (14), pp 5340–5345)
- キラルプール法(chiral pool synthesis)
- 逆合成解析(retrosynthetic analysis)
- カップリング反応
- Michael付加
- "vinylogy principle"
- Wittig反応とHorner-Wadsworth-Emmons反応
- Michaelis-Arbusov転移
- Jacobsenのサレンリガンド
- "kinetic quench"
- 保護基
- 高井-内本オレフィン合成
- Sharpless-香月不斉エポキシ化反応
- Jacobsen-香月エポキシ化反応
- Shi不斉エポキシ化
- "orthoacetate method"
- Sharpless不斉ジヒドロキシ化
- 速度論的光学分割(kinetic resolution)と動的速度論的光学分割(dynamic kinetic resolution)
- Mosherエステル
- Jacobsen速度論的光学分割加水分解
- Camdida antarctica lipase B(CAL-B)と"hydrolysis trick"
- Shvo触媒
- オレフィンメタセシス
とこんな感じです。ボリュームすごかった…
上の話題に触れながらキニーネとキニジンがだんだんと全合成されていくのが圧巻でした。
この5日間は有機漬けのいい5日間になりました。構造式書きまくってもう最高(*'ω'*)
キニーネ、Jacobsen触媒、Shi触媒、Evans auxiliaryの構造も何も見ずに書けるようになりました笑
理学部の化学系のお友達もできたのでめでたいですね(*'ω'*)
有機化学の面白さを改めて感じることができました。ウォーレン、復習しつつ頑張って読み進めるぞ~